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当院におけるVBACの分娩管理
―特に子宮破裂を予防するための視点から―

(Intrapartum management of vaginal birth after cesarean in our clinic 
―A view point of preventing rupture of the uterus―

ひらしま  のぼる
平嶋 昇
Women’s Clinicひらしま産婦人科
Key Words/ VBAC,子宮破裂,人工破膜,吸引・鉗子分娩,オバタメトロ

はじめに

近年、帝王切開の著しい増加に伴いVBAC(帝切既往妊婦の経膣分娩)の機会も増加している。娩出方法は、反復帝王切開とVBACがあるが、帝王切開では、麻酔事故、術後の肺塞栓症等、重篤な合併症の危険性がある1)ので、できればVBACが望ましい。しかし、VBACには子宮破裂のリスクがあり、その場合母子ともに予後不良となる。このことが、VBACtrialを妨げる最大の要因となっている。当院開設以来18年間分娩件数10027例のうち既往帝切は243例(2.42%)で、そのうち131例(54%)がVBACに成功し、子宮破裂は一例もなかった。そこで、当院のVBACの統計的検討を行うと共に当院におけるVBACの分娩管理を報告し、子宮破裂を予防するための対策を検討した。

対象と方法

開設以来1986年7月から2004年7月までの既往帝切243例を対象とした。そのうち1986年7月から1995年12月を前期とし、1996年1月から2004年7月までを後期とした。VBAC群はV0群(VBAC最初の症例)とV1群(VBACに一度以上成功した症例)に分けた。前後期のVBAC率、分娩様式、陣痛発来様式、後期のVBACに成功した分娩所要時間別吸引・鉗子分娩の割合、人工破膜から分娩にいたる時間と分娩所要時間ならびに人工破膜時子宮口開大度との関係、吸引・鉗子分娩における児頭位置の割合とその適応、オバタメトロでVBAC成功の5例と不成功の1例を検討した。

成績

1.当院18年間のVBAC率(表1)

243例の既往帝切があり、そのうちの131例(54%)がVBACに成功した。Apgar scoreは全て良好であった。後期では、175例の既往帝切があり101例に試験分娩し、成功率94%で95例(54%)がVBACに成功した。この95例の前回帝切適応の内訳は、骨盤位、胎児ジストレスの合計で44%(42/95)を占めた。試験分娩しない74例のそれは、CPD、軟産道強靭、前2回帝切合計で77%(57/74)を占めた。不成功6例(前期破水が3例あり、すべて自然陣痛発来し、陣痛促進剤の使用はなく人工破膜は行っていない)の今回の理由は、CPD2例、胎児ジストレス2例、回旋異常1例、反屈位1例で、CPDの2例だけは、前回帝切適応も同じであった。

2.VBACに成功した131例の分娩様式と陣痛発来様式(表2)

1) 分娩誘発は、前期のオバタメトロによる2.3%(3/131)のみでオキシトシンによる分娩誘発は、1例もなかった。
2) 陣痛促進のためのオキシトシン使用は、前期19%(7/36)に対し後期1%(1/95)と激減したにもかかわらず、前後期の既往帝切1回のVBAC率はほぼ同じであった。V0群でも、オキシトシン使用が、前期15%(5/34)に対し後期は1例もないが、前後期の既往帝切1回のVBAC率に有意差(P<0.05)を認めなかった。
3) 太田2)は、子宮破裂の発生時期は分娩第1期後半から2期であり、2期を短縮する目的で吸引または鉗子分娩を試みてもよいとしている。当院もその方針であったために、吸引・鉗子分娩率は、前期69%(25/36)、後期65%(60/93)と高率となった。

3.VBACに成功した95例の分娩所要時間別吸引・鉗子分娩の割合(表3)

骨盤レントゲン,超音波断層にてCPD、回旋異常等が疑われ、軟産道強靭で難産が予想される症例は除外した。V0群の3分の1が6時間以内に分娩が終了したが、4分の1は、15時間以上の分娩時間を要し、その9割が吸引・鉗子分娩となり、その8割が峡部の位置で施行され、難産の症例と思われた。V0群とV1群の両群の分娩所要時間に有意差(P<0.05)を認め、一度VBACに成功すると分娩所要時間が短縮された。

4.人工破膜から分娩にいたる時間と分娩所要時間ならびに人工破膜時子宮口開大度との関係(図1)

1)人工破膜の適応では、微弱陣痛が56%(10/18)と最も多く、前回帝切を含めると約9割に達した。
2)人工破膜から分娩にいたる時間と分娩所要時間の間には有意差(P<0.05)を認め、
人工破膜した18例の内で、3分の2は、人工破膜から分娩までが2時間以内で、分娩所要時間も短かった。2時間以上かかった3分の1の6例は、分娩所要時間も多くかかり、それらの症例の人工破膜の適応は4例が微弱陣痛、2例が第U期遷延で、すべて峡部での吸引で、子宮口切開は3例、吸引⇒鉗子分娩は2例と多く、子宮破裂を最も注意しなければならない症例と思われた。4例の微弱陣痛の症例に対して、過強陣痛の副作用があるオキシトシンを使用せずに、人工破膜を選択し、陣痛促進を図った。
3)人工破膜時の子宮口開大度と人工破膜から分娩にいたる時間の両群に有意差(P<0.05)を認めなかった。人工破膜は、子宮口開大度7cm以上で行い、破膜後すべて5時間以内に分娩が終了し、4人に1人施行された。

5.VBACに成功した60例の吸引・鉗子分娩における児頭位置の割合とその適応(表4)

V0群では70%(51/73)が吸引・鉗子分娩でその64%(32/50)が峡部で行われた。適応では前回帝切が57%(34/60)と多く、子宮破裂予防のために分娩第2期短縮を図った。第2期性遷延・微弱陣痛の適応が20%(12/60)あり、オキシトシン使用せず人工破膜を施行して、吸引分娩を選択した。

6.オバタメトロでVBAC成功の5例と不成功の1例(表5)

症例@ABは、微弱陣痛適応の症例で、メトロ脱出後、子宮口開大度7cm以上で、人工破膜し陣痛促進を図った。オバタメトロの最大の副作用は臍帯脱出であり、筆者ら3)は、頭位における分娩誘発ではメトロ注入量150mlで十分で、臍帯下垂、脱出もなかったとしている。しかし、VBACにおいては、子宮破裂につながりかねない子宮内圧上昇を防ぐために注入量を減少させることが重要と考え、80 mlまで減少させた。症例Cは、子宮頸管熟化を目的とした唯一の症例であったために、メトロ脱出後、人工破膜せず、その後の自然陣痛発来を待った。

表5はこちらからご覧ください。(別窓)

考察

VBACにおいて子宮破裂を完全に防ぐことができない現状では、まず第1に初回帝切の適応を厳正にし4) (当院の帝切率は5.51%)既往帝切妊婦の症例を少なくすることが大切である。第2に前回帝王切開=反復帝王切開を謹むことである5)。一度VBACに成功すると分娩時間も短くなり、当院の22例は全てVBACに成功した。水上6)は、自身らと諸家のVBAC成功率と子宮破裂の合併頻度を要約している。それによると試行率38%〜92%(当院後期58%)、成功率60%〜83%(当院後期94%)で最終的な成功率は約50%(当院54%)で約0.3%〜1.0%(当院0%)の確率で子宮破裂が起こり、薬剤による誘発・陣痛増強は子宮破裂の危険を高めるようであるとしている。松浦ら4)も、オキシトシンによる誘発、促進は、過強陣痛となる可能性が考えられ、使用を避けることが望ましいとしている。当院ではオキシトシンによる分娩誘発は、前後期ともになく、オキシトシンによる陣痛促進は、前期では約20%(7/36)あったが、後期では1%(1/95)のみで、微弱陣痛に対する陣痛促進法として陣痛促進剤使用ではなく、分娩第1期ではオバタメトロ、子宮口7cm開大していれば人工破膜、微弱陣痛を伴った第2期遷延した症例では吸引分娩を選択した。子宮破裂を最も注意しなければならない微弱陣痛を伴った分娩が遷延した症例に対しても陣痛促進剤を使用せず積極的に人工破膜、子宮口切開、吸引分娩、鉗子分娩を駆使し、娩出期(分娩第1期後半から2期)の短縮を図った。オキシトシンを使用しなくても諸家の報告に比べて当院のVBAC成功率は94%と最も良く、最終的なVBAC率は、54%とほぼ同じであった。

おわりに

VBACにおいて子宮破裂を予防するためには、子宮切創部に異常が疑われる症例、難産が予想される症例を除外するのは勿論で、1.)自然陣痛発来を待つこと。2.)陣痛促進剤による分娩誘発を行わないこと。3.)微弱陣痛=陣痛促進剤使用ではなく、オバタメトロ、人工破膜で対応すること。4.)子宮破裂発症時期である娩出期短縮を図るために人工破膜、吸引・鉗子分娩を施行すること。この際、陣痛促進剤を使用しない。以上4点に要約できる。子宮破裂は一例もなかったが、上述した分娩管理の有効性を評価するためにcontrol studyを含め今後さらに症例数を増やし検討する必要があると考えられる。

文献

1)木下 勝之,竹田 省,関 博之他:「重篤な帝王切開術後合併症の病態と予防対策」産婦人科治療72:367-370,1996.
2)太田 孝夫:「既往帝切例の分娩管理」,今日の産婦人科治療指針,水野 正彦,武田佳彦編,325,医学書院,東京,1989
3)平嶋 昇,川崎 徹,土橋 雄二他:「頭位におけるバルン型メトロ(オバタメトロ)による分娩誘発法―特に臍帯下垂、脱出の予防について―」産科と婦人科50:109-112,1983.
4)松浦 俊平,矢野 樹里,越智 博:「帝切率を減少させるために‐前回帝切とVBAC‐」.産婦人科治療66:956‐959,1993
5)福家 信二,神崎 徹,村田 雄二:「前回帝王切開妊娠の管理とVBAC」,正常分娩,新女性医学大系25,武谷雄二編,235−241,中山書店,東京,1998
6)水上 尚典:「VBAC(帝切既往妊婦の経膣分娩)」産婦人科治療86:57-60,2003.

(産婦人科治療 Vol91 no.5-2005/11 永井書店掲載)

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