閉経による女性ホルモンの減少によって、女性の体には更年期特有のさまざまな症状が現われる。その症状が重く、日常生活に支障を及ぼす場合は専門医による治療が必要だ。今回は治療法について触れてみよう。
*減少したホルモンを補うホルモン補充療法
更年期の症状は人によって異なり、その期間も重度もさまざま。その症状が日常生活に支障をきたす場合は、「更年期障害」としての専門医による治療が必要です。
更年期障害の治療は、低下したエストロゲン(卵胞ホルモン)を補う、ホルモン補充療法がメインになります。飲み薬と注射があり、飲み薬ならば2〜3週間、注射ならば1〜2週間ほどで症状が改善されます。もし、投薬後にこれらの期間を経ても効果がない場合は、ほかの疾患の可能性も考慮しなければならないでしょう。子宮体がん、乳がん、血栓症、重篤な肝機能障害がある人はエストロゲンが服用できません。
*骨粗鬆症や心臓・血管の病気予防に役立つホルモン補充療法
ホルモン補充療法は不自然にホルモンを投与するのではなく、本来あるべきものが不足しているため、その不足分を補うのが基本的な考えです。ほてりやのぼせといった更年期特有の症状はこれによって、かなりの高い確率で改善されます。
閉経になりエストロゲンが限りなく0に近くなると、医学的な問題として骨粗鬆症や心臓・血管系の病気も多くなってきます。骨粗鬆症は骨の量が減少する病気です。老年期の骨折は最悪の場合、寝たきりになることも考えられます。
また、エストロゲンは血管を保護し、コレステロール値を下げる働きも担っています。悪玉コレステロールが増え、善玉コレステロールが減って、動脈硬化症、脳血管の疾患や心筋梗塞を起こしやすくなります。また膣の乾燥で自浄作用も低下し、感染しやすくなり、老人性膣炎になります。それに伴って性交痛が夫婦生活を困難にするなどの問題もあります。
ホルモン補充療法は、更年期治療はもとより、病気の予防、閉経後の生活の質の向上にもつながる治療法なのです。
*精神面をサポートするカウンセリングも重要
更年期は老年期の入り口で、年令的に見てもちょうど過渡期に当たります。体は卵巣機能が低下し、閉経を迎えます。それが女性としての人生の終わりと感じる人も少なくないようです。また、子供の独立、親の世話・介護などが重なり、老い、死というものを強く意識する機会でもあります。それらの精神的なストレスが、自律神経の失調やうつ病をもたらしやすいともいわれています。この場合は、自律神経調整剤や抗うつ剤、精神安定剤、不眠があれば催眠剤なども治療に用いられます。また、「冷え」や軽度の更年期症状には、漢方薬が有効です。漢方薬は、証の一致が重要で、患者さんに、薬の相性が一致すると非常に効果があります。副作用も比較的少なく、ホルモン剤禁忌の方にはおすすめです。加味逍遥散などよく使われます。
更年期の治療を行なう場合、薬物療法だけでなく、患者が抱える精神面のカウンセリングもとても重要です。女性自身も来るべき老年期を前に、若いうちから、趣味を持ったり、相談ができるような友人をつくったり、スポーツで基礎体力をつけたりするなど、ストレス発散の方法や生きがいを見つけておくことが大切です。閉経後の30年余を、寝たきりでなく、充実した老後を送るために。
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