成熟女性の10人に1人といわれる子宮内膜症。前回はその症状や原因などに触れた。後編の今回では、治療法について取りあげていく。環境ホルモンも子宮内膜症の原因か!?
月経痛、腰痛、性交痛などの痛みがある子宮内膜症は、30代の女性をピークとして最近目立って増えてきている病気です。働き盛りにかかりやすく、原因も明確でなく痛みと不妊を伴うため、子宮筋腫よりも厄介で、女性にとっては重要な病気のひとつといえます。
女性ホルモンのエストロゲン依存症、晩婚化、少子化などが原因といわれていますが、ダイオキシンもそのひとつに挙げられています。アメリカで行われた実験では、ダイオキシンによってサルが子宮内膜症を発症したという報告があります。環境ホルモンが精子を減少させるとの報告もあります。このままでは人類の存続の危機に繋がるのでは…と私は心配になります。便利で豊かな生活を私たちは送っていますが、これからはライフスタイルを変えていく必要に迫られているのかもしれません。
子宮内膜症は原因も、不妊症との関係もいまだ明確ではありません。そのため治療方法もさまざまです。痛みの除去を主目的とするか、妊娠を希望するかで治療方針が大きく変わります。もし妊娠を希望しなければ、最終的に卵巣、子宮摘出する根治手術が可能ですが、妊娠希望の場合は薬物療法(ホルモン療法)と外科治療としては、保存手術(開腹手術と腹空鏡下手術があり、卵巣、子宮を温存し、病巣の除去、ゆ着のはくり等を行い、疼痛の改善、妊娠を期待する)となります。
まず、薬物によるホルモン療法についてふれていきましょう。
●偽妊娠療法…ピルなどを使い妊娠と同じ状態にします。妊娠をすぐに望まない人には内膜症の予防と同時に避妊もできます。副作用として体重増加、肝機能異常、気持ち悪くなることがあります。
●ダナゾール療法…男性ホルモン誘導体で、卵巣機能抑制と子宮内膜に直接作用する。副作用として、肝機能障害、体重増加、脳血栓症があります。
●GnRH療法…脳下垂体から出ているゴナドトルピン(卵巣を刺激し月経の指令を伝えるホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)を減少させ、内膜を小さくします。間接的に卵巣機能を低下させて無月経状態にしていく、この治療法が現在の主流です。通常6か月行い、その間無月経となります。経鼻法と注射法があり、注射ですと、4週間に1回で、6回で終了です。副作用としては、のぼせ、ほてり、肩こり、頭痛など更年期障害と同じような症状があげられます。治療が終われば、月経は戻りますが、以上の療法で必ずしも成功するとはかぎらず、再発があり手術療法が必要となる場合もあります。手術療法には保存手術、根治手術があります。