医療法人社団昇龍会 |
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デナリ国立公園で、遠くにブラックベアー発見 |
ムースの角を片手で持ち上げる、"柔道四段"の強力 |
アラスカのトナカイ・カリブーの角は、 二人でやっと持ち上がる、"超重量級" |
秋のデナリは紅葉シーズン。 ラズベリーの赤いじゅうたん、天を指す針葉樹林、 白樺の黄葉が、どこまでも、どこまでも…… |
フェアバンクス駅到着夜8時30分。 美しい夕日はいつまでも沈まず、そのまま白夜に突入です |
フェアバンクスの山にある、日本人若夫婦経営の「オーロラ・ポリアリス・ロッジ」熊谷誠氏撮影の、見事なオーロラ
(残念ながらわれわれは見られませんでした。)
でも天空を見上げること2時間、ミルキーウェイ(天の河)も、時々落ちる流れ星も、そして宇宙をさまよう人工衛星も、まるで手にとる近さ!
この日午前中は、自由行動。
私の提案で、フェアバンクの野鳥公園とアラスカ大学構内にあるミュージアムと国際北極圏研究所を見学。
日本の多大な寄付により創建された 「国際北極圏研究所」には、 初代所長赤祖父俊一博士の名が刻まれてます。 |
クリーマーズ・フィールドにて。 遠足で訪れた現地の小学生と一緒に、同地の 説明を受けました。当地は150種類、数十万羽の 渡り鳥が飛来する保護区です |
渡り鳥を見送る |
夕方、極北の地にあるチェナ温泉へ。
毛皮を着て、"アイスバー"に入室。
氷の椅子に座って、氷のグラスで楽しむカクテル、これが、極うま。
続いて毛皮を脱ぎ水着に着替え、いざ極北の露天温泉へ。
身も心も芯から温まる、素晴らしいお湯でした。
さらにプールでひと泳ぎ。遅い日暮れを待ち、深夜0時。
再び防寒具に身を固め、夜空を見上げること3時間。
「お〜いオーロラよ〜、姿を見せてくれ〜」
しかし念願のオーロラはその不思議な姿を見せず残念。
バスは夜道を走る。突然の急ブレーキに目を覚ますと、ムースが出現!
ホテル帰着、午前3時半。
こうして、充実感と疲労感いっぱいの、一日が終わる――
あっと言う間の5日間でした。
フェアバンクス空港にて、ツアーガイド「ミチさん」と。彼は知る人ぞ知る、犬ぞりチャンピオン。
北海道からアラスカに移り住み、早や9年。楽しい旅のガイド、ありがとうございました。
そして、次回があるなら、「オーロラよ、夜空を舞え!」
12:50 フェアバンクスを飛び立ったJLチャーター便は、途中日付変更線を通過。
そして29日(金)13:05、成田に無事帰着いたしました。
この旅の間、留守をしっかり守ってくれた、鈴木副院長有難うございました。
そして、笑顔で送り出してくれた、スタッフの皆様に心から感謝!
帰国したその瞬間から、厳しい産婦人科医の現実が待ち受けていました。
8月31日明け方5時、陣痛に耐えられなく「もう切ってください」と夫婦で懇願されて緊急帝王切開施行。
17時間の時差ボケを解消する間もなく日常診療再開です。
京都の田中啓一先生(日本のお産を守る会代表)が、上京の折
わざわざ埼玉まで足を延ばして、当院をお訪ね下さいました。
「FACE TO FACE」で親しくお話できる機会を得、大変うれしかったです。
日本に帰ったら「セミ」の声がかまびすしく、耳に鳴り響きます。
記:9月1日防災の日福田総理大臣突然辞任のニュース速報を聞きながら
付記:福田前総理大臣殿へ
われわれ産科医はマスコミからどんな仕打ちにあっても、歯を食いしばって、妊婦さん第一に考えて、
24時間
365日、寝る暇もないくらい頑張っています。
疲れたからとか、罪を被せられそうになるからとか、厚生労働省や看護協会やNHKが、
今も「看護師内診禁止」だとか言っても、投げ出さず、地域にへばりついて、頑張ってます。
あなたは勤勉なる国民を何だと思っているのですか。
アメリカは、すべてが美しい"夢の国"ではありません。
私は若い頃、アメリカへ強いあこがれを抱いて、医師としての新天地を求め、アメリカ、デトロイトの病院で
研鑚を積んだことがあります。
その時経験したアメリカ型のお産は、全例無痛分娩、全例鉗子分娩のマニュアルに沿ったお産でした。
その後、迷った末、ふたたび日本の土を踏み、家族を得、22年前 上尾を「終の棲家」と決めました。
日本にはアメリカに決して負けない、優れた文化があります。
アラスカの大自然は、圧倒的な雄大さでした。
しかし、食べ物はというと、まるで味気なかったのも確か。
対して、日本の食事はと言えば――肉・魚・野菜・果物の素材の味を活かした、繊細な味付け。
手作りで精魂込めて作り上げた食べ物のおいしさは、ファーストフード的なアメリカの食事からは、
残念ながら味わうことが出来ませんでした。
いささか手前味噌ではありますが、日本に戻って食べた当院の「ひらしま自家製松花堂弁当」の、おいしかったこと!
日本の食文化の豊かさは、世界に誇れるレベルなのです。
お産もそうです。
今回の旅でお世話になった、ポアリス・ロッジの若夫婦に伺ったお話によれば――
彼らは今年2月赤ちゃん出産の際には、陣痛が始まって車で40分かけて町まで下り、4時間後に出産。
そして翌日には退院した。
そして費用は日本よりはるかに高額です。
日本ほど「安全」で「快適」なお産を、「良心的な費用」で提供している国は、世界中を探しても稀なのです。
対するアメリカ型の大病院集中・ベルトコンベア式のお産には、何の感動もない。
日本独自の地域密着型のお産文化を残すことが、日本滅亡を防ぐ道です。
アラスカの大自然、そしてその大自然の中で、必死で生きる植物・動物たちに接し、大きな宇宙を見上げ、人間の愚かさ、
ちっぽけさを感じた旅。
そして日本の素晴らしい、食文化・お産文化を守らなければならないと再確認した旅でもありました。
だれが次期総理大臣の椅子に座るか混沌とする中、アメリカ49番目の州アラスカから帰国し、
日本がいつか、かの国の51番目の州になりたくはないと思う今日この頃です。
さて、季節は9月。読書の秋です。
私は今、新田次郎著「アラスカ物語」を読み、旅の余韻を楽しんでおります。