ひらしま産婦人科 PHOTO MONTHRY DIARY 第48号
2007年>> フォトニュース
2008年>> 新春号 / 3月・甲子園観戦 / 5月・ゴールデンウィーク
7月・開院22周年 / 7月・東奔西走記 / 8月特大号・アラスカ旅行記-1 / 2
9月・日本の秋を楽しむ / 11月・晩秋の巻 /
フォトエッセー特別編「シルバーの手習い」 /年末号
2009年>> 新春特別号 / 3月・シンポジウム編 / 4月・花まつり編 / 5月・「虹」編
6月・「紅」編 / 7月・「ゆりかご」編/ 8月・「華火」編 /
9月・「スイス巡礼の旅」編-1/2/3/11月・「読書の秋」編
2010年>> 1月・「年頭所感」編 / 2月・冬から春へ/ 3月・国会へ陳情に行く編
4月・お花見に行く編 / 6月・父の日&逆子編/ 7・8月・「海の絵」編
9・10月「魅惑のスペイン 弾丸ツアーの巻」-1/ 2 / 3
2011年>> 1月・年賀状 / 2月・映画鑑賞の巻
3月・ドキュメント 東日本大震災 IN ハライチ /
4月・上野動物園にパンダに会いに行くの巻
5・6月~初孫 平嶋 湊(みなと)誕生!~
ミーナ君アルバム 第1楽章
7・8月「海の幸&逆子と柔道」編 / 8月付録・ミーナ君アルバム第2楽章「お食い初め儀式」
10月「実りの秋」編 / 「ミーナ君 アルバム」 第3楽章 6か月児はこんなことができるのだ
2012年>> 1月・年賀状 / ミーナのお正月
付録2 平成23年1月~12月骨盤位分娩成績 / 2月・キネマ旬報賞映画鑑賞会&表彰式
3月「卒業45年記念同窓会 IN 東京」の巻 / 4月「今年の桜」の巻
4月「さだまさし還暦コンサート in さいたまスーパーアリーナ 4月10日」
5月「ミーナの初節句 & ボク 満1歳になりました!!」 / 5月「嵐の5月」 / 6月「祈り」
9月「2 DAYS IN 小笠原」 / 10月付録「ミーナ歩く・走る」
フォト・マンスリー・ダイアリー
~ゴールデンウィーク&5月 ハイリスク分娩 顛末記~
『誕生日-今日は君のもの』の曲が、赤ちゃんが産まれる度に流れます。
産科医には“休み”はないのだ。
今年のゴールデンウィークは、館山の美しい海に潜るのを楽しみにしていましたが、
たくさんのハイリスク分娩を抱えていたため帰省は断念せざるを得ませんでした。
*4月28日(土)*
午前11時37分の逆子のお産よりゴールデンウィーク“お産ラッシュ”のゴングが鳴り始めました。
早朝6時にオバタメトロ使用し、当院看護師林さん(当院にて逆子出産経験あり)の介添えのもと、
4時間で出産にいたった安産でした。
この方は里帰り分娩を予定してましたが、当院で逆子の経膣分娩ができたことを感謝して帰られ、
産科医冥利につきました。
*5月1日(火)*
妊婦さんの押し寄せる外来診療の最中に、2人のVBAC症例(他院で逆子で、帝王切開)重なる。
1例目 午前11時11分 吸引分娩。
2例目 子宮口硬く、3日間かかり、分娩停止状態になるも、子宮口切開、吸引では娩出せず、
鉗子使用し、午後2時44分 無事VBACに成功しました。
*5月2日(水)*
2例の出産。午前5時59分。午後10時34分。
*5月3日(木)*
3例の出産。午前7時9分。午前9時59分。
午前11時44分。出血、腹痛にて来院。持続性徐脈出現。
胎盤早期剥離の診断にて、緊急帝王切開施行。
連休中にも関わらず、麻酔医駆けつけてくれ、小児医療センター立ち会いのもと、
緊急帝王切開により、胎児娩出、直ちに小児センターに搬送。重症仮死であったが救命成功。
この時、「母体搬送」を選択していたら、児の救命は難しかったかも知れません。
1カ月検診に当院来院。児異常なく安堵。
*5月4日(金) *
2例の出産。午後4時12分。午後5時15分。
内1例は、宮口切開施行、吸引分娩で娩出せず、鉗子分娩。
*5月5日(土)*
3例の出産。
午前9時2分。午前11時44分。
午後2時30分。最後の症例は、初産、全開大になるも、第2期遷延、微弱陣痛となり、吸引分娩。
*5月6日(日)*
お産3例。午前2時42分。午後0時20分。午後0時51分。
ゴールデンウィーク最後のこの日も大変なお産ばかりでした。
まずは、深夜の逆子のお産から始まりました。リピーターで、1経産。
5月5日 午後11時40分、39週5日 陣発で入院メトロ3CM開大。
足と臀部が触れ、直ちにメトロ(300cc)挿入。
午前 2時42分 不全足位で出産となりました。
メトロで全開大となり、無事に経膣分娩となりました。
肩甲上肢解出時間18秒。後続児頭娩出時間2秒の安産でした。
最後の3例目は、妊娠高血圧症候群で入院中の方で、頭痛を訴え、休日であったが、
麻酔医直ちに駆けつけてくださり、緊急帝王切開施行。胎児無事娩出。母児ともに救命出来た。
ゴールデンウィーク中の出産18例。
逆子のお産 2例。
VBAC 2例(全て他院の症例 前回帝切理由は、骨盤位によるもの)
吸引~鉗子分娩 2例。 宮口切開 2例。吸引分娩 2例。
緊急帝王切開 2例。(胎盤早期剥離 ・ 妊娠高血圧症候群)
18例中、半数がハイリスク妊娠分娩でした。
5月31日(木)5月の43例目のお産もVBAC。午前2時49分吸引分娩にて娩出。
5月 TTL 43例の出産があり、7例の前回帝切(全て他院の症例で内4例が骨盤位理由による
帝切。)7例全てVBACに成功した。
VBACで始まった「嵐」の5月のお産は奇しくも、VBACで終了のゴングが鳴り、深夜の吸引分娩を
終え、ベットに倒れ込むように潜り込んだ。
埼玉県 ハライチの街の片隅で、26年間毎日毎日毎日毎日コツコツとお産に取り組んできた
「現役産科医」の日常は、一瞬の気の緩みも、ミスも許されない状況下 緊張の連続です。
『 嵐の5月 』が過ぎ、6月、そして酷暑の夏も、ただひたすらハイリスク妊娠分娩に向き合う日々を
過ごしました。
その頃 詠んだ 「俳句」
これが、この数カ月間の私の心の叫びです。
しばらく会わないうちに ミーナの歯がはえました。 |
ご主人様がいそがしく、このところ 散歩に行ってくれないのだ。 |
考察:
私が3年前(2009年3月) 日本のお産を守る会 第3回 シンポジウムにシンポジストとして
招かれた際に「開業産科医としての遺言状~産科の灯が消える前に言い遺したいこと」で
提言したことがあります。
*母体搬送よりもドクター搬送を行うべき。*
当院が第一次産科施設と言われながら、多くのハイリスク分娩
(1986年7月~2008年12月 分娩総数 12,237件 帝王切開701件
骨盤位経膣分娩302件 骨盤位妊娠399件(3.26%)
経膣分娩率76%成功率90%(302/335),VBAC176件(成功率93% 140/151)、前置胎盤27件、胎盤早期剥離31件、双胎分娩82件 1500g以下57件(県立小児センター立ち会い 当院にて出産後 ベビーのみNICU搬送))※1を取り扱うことができたのは、
当院には多くの協力DR(個人的な繋がりによる)がいて、緊急時には、要請に応じて、
そのうちの誰かが必ず駆けつけてくれ、緊急帝王切開が可能である、ということです。
ゴールデンウィーク中の緊急帝王切開もこのシステムにより、夜中でも、明け方でも、休日でも、
麻酔医、応援医を確保することが出来ました
母体搬送先を探し、無駄な時間を費やすことがない。
産科医・麻酔医・小児科医が直ちに結集すれば、母児の救命は
素早く出来ることを、
26年間の経験から三年前のシンポジウムで提言しました。
10月20日 (土) 産科中小施設研究会に参加した際、日本医科大学 中井章人教授は
「常位胎盤早期剥離 どう対応する?」の中で、
常位胎盤早期剥離への対応
*胎児救命には発症1時間以内の娩出
*母体救命には発症3時間以内の娩出
*自院で急速逐娩する。※2
(当院にて反復早剥2例を経験し、2例ともに前回の経験があったので直ちに来院したために、児の救命ができた。早剥の予防法のない現時点では、初期症状の発来時に来院することが、母児の予後をよくすることになり、妊婦さんへの日頃の注意が一番大切と考えられる。※3
*早産であれば、新生児搬送を事前に依頼する。
(周産期医療ステージ(11)遺された課題、常位胎盤早期剥離=どう対応する?
3年たってやっと私の提言の正しさがつたわったのかとの感慨を持ちました。
母児の同時救命が現在の産科医に重くつきつけられている課題です。
そのため現役産科医の疲弊はお産取り扱い施設である限り永久不変に続くのです。
そろそろ「体力」「気力」勝負になってきたと感じたこの夏でした。
参考文献:
※1平嶋昇「日本のお産文化は守れるか~産科開業医としての遺言状~
(産科の灯が消える前にいい遺したいこと) ※PDFファイルへリンク
2009・3月 日本のお産を守る会 シンポジウムより
※2中井章人「周産期医療ステージ(11) 遺された課題、常位胎盤早期剥離ーどう対応する?-」
2012.10.20 産科中小施設研究会より
※3平嶋昇「10年間の常位胎盤早期剥離15例の臨床的検討並びに反復早剥の経験」
ひらしま産婦人科10周年誌、p93-96、1996
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