ひらしま産婦人科 PHOTO MONTHRY DIARY 第22号
2007年>> フォトニュース
2008年>> 新春号 / 3月・甲子園観戦 / 5月・ゴールデンウィーク / 7月・開院22周年
7月・東奔西走記 / 8月特大号・アラスカ旅行記-1 / 2
9月・日本の秋を楽しむ / 11月・晩秋の巻 / フォトエッセー特別編「シルバーの手習い」 /年末号
2009年>> 新春特別号 / 3月・シンポジウム編 / 4月・花まつり編 / 5月・「虹」編
6月・「紅」編 / 7月・「ゆりかご」編/ 8月・「華火」編
9月・「スイス巡礼の旅」編-1/2/3/11月・「読書の秋」編
2010年>> 1月・「年頭所感」編 / 2月・冬から春へ/ 3月・国会へ陳情に行く編
4月・お花見に行く編 / 6月・父の日&逆子編/ 7・8月・「海の絵」編
9・10月「魅惑のスペイン 弾丸ツアーの巻」-1/ 2 / 3
2011年>> 1月・年賀状 / 2月・映画鑑賞の巻 / 3月・ドキュメント 東日本大震災 IN ハライチ
4月・上野動物園にパンダに会いに行くの巻
5・6月号 〜初孫 平嶋 湊(みなと)誕生!〜
"ミーナ君 アルバム 第1楽章
7・8月「海の幸&逆子と柔道」編 / 8月付録・ミーナ君アルバム第2楽章「お食い初め儀式」
10月「実りの秋」編 / 「ミーナ君 アルバム」 第3楽章 6か月児はこんなことができるのだ
2011年>> 1月・年賀状 / ミーナのお正月 / 付録2 平成23年1月〜12月骨盤位分娩成績
2月・キネマ旬報賞映画鑑賞会&表彰式 / 3月「卒業45年記念同窓会 IN 東京」の巻 / 4月「今年の桜」の巻
4月「さだまさし還暦コンサート in さいたまスーパーアリーナ 4月10日」 5月「ミーナの初節句 & ボク 満1歳になりました!!」 / 5月「嵐の5月」 / 6月「祈り」
9月「2 DAYS IN 小笠原」 / 10月付録「ミーナ歩く・走る」
PHOTO MONTHRY DIARY 〜2009年11月「読書の秋 」編 〜
「瀬戸内寂聴尼」
11月23日 講演会開催(於 東京女子大学)
最近当院は、ハイリスク分娩ばかりを抱え、身も心も疲弊してきています。
景色は早晩秋の気配、私は一人'読書の秋'を楽しんでいます。
今月は私の"お薦め本 「3冊」" を紹介します。
お薦め本 その1
海堂 尊 著 『トリセツ・カラダ』
カラダ地図を描こう 三省堂書店
海堂先生の持つ「トリセツカラダ」と
当院の本「日本のお産文化は守れるか」
海堂尊氏といえば、「チーム・バチスタの栄光」で、第4回「このミス」大賞を受賞し、
2006年鮮烈のデビューをした小説家にして現役医師。(もと外科医・現病理医)。
その後数々の作品を矢継ぎ早に発表、いまや押しも押されぬ人気作家です。
その海堂先生の最新作が『「トリセツ・カラダ」カラダ地図を描こう』です。
海堂作品には、「ジーン・ワルツ」「極北クレーマー」など、産婦人科領域を扱った小説があり、
それらは読み応え満点。私はかねてより先生の愛読者でした。
写真左:「ジーン・ワルツ」「極北クレ−マー」
写真右:「医療を支えて下さい。」とサインして下さいました。
この日は、たまたま、「産婦人科治療 11月号」に私の「骨盤位論文」が掲載されたので、
大宮そごうに買い求めに立ち寄ったら、運良く海堂尊先生のミニトーク&サイン会に遭遇。
ミニトーク&サイン会のお知らせ
早速新刊を購入。その後先生のトークに聞き入りました。
会場に集まった人々に1枚の紙が配られ、五臓六腑をいってください。と一人ずつ指す先生。
そしてそのあと、紙に「カラダ地図」を描いて下さいといわれました。
今回の本は、海堂先生が本来の医師に戻って、
「一生つきあう自分のからだについて知らないのは変ですよ。
この本を読んだら、正確なからだ地図が描けます。」という趣旨で作られました。
東大生すら、正確なからだ地図をかける人は中々いなかったそう。
ぜひ、一家に一冊買って、みんなでカラダ地図を描けるようにしましょう。
特に妊娠した方は、この本に書いてある、卵巣のこと、精巣のこと、胎児のこと、遺伝のこと...
の項目を熟読しておくことをお薦めします。
この本を読むと、からだの成り立ちの不思議がわかり、心がどんなに病んでいても、
自分のからだは黙々と毎日働いて、生き続けていることに感謝の気持ちが湧いてきます。
そして自分のからだも、子宮の中で一生懸命成長していく赤ちゃんのことも大切にしようと思うはずです。
待合室に、海堂尊先生'直筆サイン入り本'が置いてあります。
ぜひお手にとって目を通して下さい。
「トリセツ・カラダ」直筆サイン入り
お薦め本 その2 (ただし書店ではお求めになれません。)
平嶋 昇 著「日本のお産文化は守れるか」
〜産科開業医としての遺言状〜
(産科の灯が消える前に言い遺したいこと)
海堂先生が右手にもっている本が、当院の限定出版本(カラー版)です。
先生とは、サインを書いていただきながら、桶川マインで観た「チームバチスタの栄光」の
映画の話や、「ジーンワルツ」映画化の話や、その続編の話で盛り上がりました。
そのうち、先生の小説のどこかにわが産院が登場するかな?
当院小冊子については、
11月7日の「日本のお産を守る会 第4回シンポジウム」のため、
前回(3月14日)の シンポジウムで発表した内容に加筆し、
編集・印刷・製本全て手作業で夜なべして作った"限定出版小冊子"です。
シンポジウムに集まった、守る会7人の侍、「事業仕訳」の忙しい最中
駆けつけてくれた枝野幸男衆議員議員、今回のシンポジスト斎藤先生・
久保先生・杉本先生・共同通信小川明記者 宗田先生・池下先生・
長沼先生・懇親会に出席して下さった海野教授等にそっと手渡しました。
小冊子作成の経緯は、「守る会」代表 嵯峨嵐山 田中クリニック院長
田中啓一先生から、"ぜひ本に纏めるように"と示唆を受けて作成したものです。
田中先生ご自身も序文を寄せて下さいました。
写真左:東京女子大講堂&礼拝堂、写真右:講演会の看板
11月23日、瀬戸内寂聴さんの講演会に出かけました。
寂聴尼は、徳島県立高女時代のことからお話を始めました。
職員室に貼ってあった一枚の「東京女子大学礼拝堂のポスター」を見た時から憧れを募らせ、
教師からは絶対に合格は無理だと言われながらも、東京の予備校に一冬通学、運よく合格通知が
届いた時のことなど、面白可笑しい話を次々披露。会場は爆笑の渦でした。
「元気病」だとおっしゃる寂聴尼と、「同病」「同業」の禅僧岩崎巴人先生は友人とお聞きしていたので、
講演会終了後走り去る先生をどこまでも追っかけて、当院小冊子を手渡しました。
寂聴尼は、裏表紙を飾る岩崎巴人先生の「誕生仏」の絵をご覧になり
「かわいい!」とおっしゃいってくださいました。
こうして当院小冊子は手元からなくなりました。
お薦め本 その3
夏川 草介 著
「神様のカルテ」 (第10回小学館文庫小説賞受賞作品)
「神様のカルテ」
2階ナースステーションで回し読みしている本を、一日借りてきて読みました。
医師不足に悩む地方病院(24時間365日対応)の若手(5年目)内科兼救命救急医
「栗原一止 イチト」先生の物語です。
3か所ぐぐ〜ときます。涙が溢れます。
73歳の誕生日を祝った後亡くなる、安曇さんのおはなしは特に心の琴線に触れます。
同時に、私は「義母」と「実母」の死の場面を思い起こしました。
2年前の義母の場合、11月晩秋の日曜日午後、孫全員に囲まれ、一人娘に手をとられ、
静かに自らの意志で息を止めるようにして、父、兄の待つ天国へと旅立ちました。
その死に際に立ち会って、「親は死の姿をもってなお子育てをする」という言葉を思い出しました。
私の母の死はこのような穏やかなものではありませんでした。
40年前、突然の脳出血で倒れた母を、何とか助けようと、1カ月にわたって、
医者である3人の息子たちが、気管切開を施し、自宅に麻酔器を持ち込み、
寝ずに交代でバッグを押し続けました。
さらに、館山の自宅から救急車で、兄の勤務する千葉大学病院に搬送。
開頭手術を行いました。毎日病院に詰めて、救命に全力を尽くしましたが、
1カ月後のクリスマスイブの日、一度も意識の回復することもなく、管に繋がれて、
52歳の若さで一人先に旅立ちました。
92歳で静かに逝った義母と、52歳で息子たちの救命努力の甲斐もなく、
人工呼吸器に繋がれて逝ってしまった母の死。
この本を読んで、死に立ち会う医師の仕事とは何かをあらためて考えました。
私が産科医を選んだ理由も、もう二度と死に立ち会いたくないという気持ちが強かったからです。
秋の夜長にお薦め本紹介でした。
日毎落ち葉の量は増し、冬が足音をたてて近づいてきています。
産科開業医にとって、苦しいこと、辛いことばかりの一年でした。
来る年が"明るい未来に繋がる年"となりますように。
BEST WISHES
for
A MERRY CHIRISTMAS
and
A HAPPY NEW YEAR
「サンタさんの絵手紙」BY 田代良子
記:2009年 師走
付記:一年がかりで取り組んだ論文
「22年間の当院における骨盤位の分娩管理―特にオバタメトロ使用の視点から」が、
2009年11月「産婦人科治療」に掲載されました。こちらは、書店で発売中です。
お薦め本に付け加えます。
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